
今回は、赤いネオンサインにまつわる、私なりの考察を交えてみます。
人はなぜ、赤く灯るものに、あれほど注意を引かれるのでしょうか。
たとえば、赤信号。踏切の点滅信号。
そして、車を運転中に突然、回り出すお巡りさんの赤色灯。
「ちっ、何で俺が…」と舌打ちしつつも、ついブレーキを踏んでしまうのは、あの色に“本能的な圧”があるからだとも言われています。
この“赤”の力は、警戒だけでなく誘惑の色にもなります。
繁華街をフラフラ歩いていると、ふと視界に入る赤提灯やネオンの明かり。
気づけばその店の暖簾をくぐっていること、ありませんか?

これは鳥の世界でも似た現象があるそうです。
カッコウという托卵の名手がいますが、彼らの雛はモズの巣に生まれ、あろうことかモズに育てさせるのです。
「なんで?」と思うでしょう。
でもカッコウの雛が餌をねだるときに開ける真っ赤な口を見て、モズは「餌を与えねば…!」と条件反射で動いてしまうらしいのです。
時には他の鳥が通りすがりにその口を見て、つい餌を与えてしまうこともあるとか。

この“赤を見ると使命感に駆られる”反応、人間も例外じゃありません。
たとえば、スナックのカウンターで赤いドレスの女の子が現れたとき、
「この子のためにお金を使わねば…」という“おじさま本能”が作動してしまうように。

私の場合、姪が離乳食期に入ったころ、赤く光るラーメン豚太郎の電飾看板に導かれるようにして店に立ち寄り、気づけば「餃子買って帰らねば…」という謎の使命感に突き動かされていました。
その日から、私は姪の“餃子係”となり、
今では彼女の方が自ら家族分を電話予約し、指定時間に取りに行き、きっちり配給するまでに育ちました。
――立派な“ジャンキー”の誕生です。

【あとがき】
赤は警告であり、誘惑であり、命をつなぐ色でもある。
その力に引き寄せられたのが、ラーメン豚太郎の菱形看板でした。
「看板ひとつでここまで話を広げるなんて」と思った方、
あなたも赤の催眠に、すでにかかっているのかもしれません。
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