
徐倫は、もともと檀家の和尚さんが見つけた猫です。
ある日、いつものように犬の散歩をしていた和尚さんは、使われなくなった倉庫の奥から聞こえる子猫の鳴き声に気づきました。
ひと気のない場所。
閉ざされた扉の向こうで、たったひとり、命をつないでいた小さな存在。
それが、のちに“徐倫”と名付けられるキジ猫でした。
その話を聞いたうちの親父が、猫を家に迎え入れ、いつしか家族になっていたというわけです。
だから徐倫は、うちの猫であると同時に、和尚さんとの“ご縁”で生まれた猫でもあるのです。

いま、徐倫のそばには天(てん)がいます。
小さくて元気で、おおらかで、どこか徐倫にも似た空気をまとった猫です。
「この子が、あの徐倫の子です」と、和尚さんに紹介する。
そんな風に語りかけてみたくなるのは、ただの血のつながりではなく、
命の巡りと、あの日から続いてきた小さな奇跡が、今ここにあるからなのかもしれません。

そして、徐倫の“本性”について少々……
ただ、今回は和尚さんの顔を立てて、あえて美化してお届けしましたが――
実のところ、徐倫という猫、我が家の猫社会においてはなかなかのトラブルメーカーであることも否めません。
彼がヌッと現れて用を足しに来るだけで、空気がピリつくことがあります。
他の猫たちが「あっ…やばいのが来た…」とでも言うように、ビクッと一斉に身構える。
あの光景は、まさに映画『スター・ウォーズ』でダースベイダーが現れた時のような雰囲気に近いものがあります。
悪のフォースでもまとっているのでしょうか…。
やたら威圧感だけはある、不思議な存在感の猫――それが徐倫です。
でも、それでもやっぱり家族なのです。
騒々しくても、嫌われても、なんだかんだで“その猫がいること”に安心するのもまた不思議なことです。
コメント