はじめに : 新入り猫 天(てん)の登場
はじめに
我が家に新しい猫がやってきました。
名前は「天(てん)」。
まるで空からふわりと落ちてきたように、不思議な縁でこの家にやってきた子です。
まだ声も小さく、体もひとまわり小さいこの子が、今、家の猫社会に新しい風を吹き込もうとしています。
渡り歩いた“猫人生”
天がこの家に来るまでの道のりは、なかなかの“放浪物語”です。
あるスーパーの店員さんが車で引きそうになったことがきっかけで、保護されました。検査の結果は異常なし。
その店員さんが「ぜひ飼いたい」と申し出たそうですが、家庭内で即却下。
次に預けられた保護施設の方も、まさかの入院。
──そして、縁とは不思議なもので、巡り巡って私の家にやってきたのです。
黒猫のはずが…?
事前の話では「黒猫」と聞いていたのですが、
やってきたのはキジ柄の猫。しかも、うちにすでにいるカーキ色の雄猫と同じような毛色。
どうやら“うちに縁のある柄”だったようで、思わず苦笑い。
珍しい単色の猫が来るかと期待していた私は拍子抜けしましたが、
この柄、この空気感──まさにこの家に合う“配役”だったのかもしれません。
やんちゃな見習いの登場
天はまだとても小さい。
同じ時期に生まれた五匹の猫たちはすでに3ヶ月目を迎え、体格もだいぶしっかりしているのに対して、天はその半分くらいの印象です。
それでも驚くのは、負けじと立ち向かうその姿勢です。
小さな身体で、大きな先輩たちの間にすっと入っていく。
怯えもせず、媚びもせず。
まるで、「ここが私の居場所」と言わんばかりに──。
猫社会の摩擦と儀式
もちろん、そう簡単に受け入れられるわけではありません。
ケージ越しに様子を見せていたはずの天は、いつの間にかするりと外へ。
縄張り意識の強い“お局猫”が荒れ、カーキ色の先輩はケージの上から見物していたものの、頭をかじられてしまう始末。
いま、家の中は静かな緊張状態。
けれどそれは、**“新入りが来たときのいつもの儀式”**のようなもの。
これもまた、猫たちが自分たちの関係性を作るための大切な通過儀礼なのです。
潔き者の予感
それでも私は思うのです。
この天には、どこか“潔さ”があります。
体は小さくても、目の奥に芯がある。
媚びることなく、吠えることなく、ただまっすぐに。
この家の“流儀”に染まってくれるのか、それとも逆に、流儀を変えてしまうのか──
それはまだ分かりません。
けれど一つだけ、はっきりしていることがあります。
この子には逸話が生まれる。
ネタの種には困らなさそうです。
…ただ、頭痛の種がまた一つ増えたのも、確かなことではありますが。
おわりに
猫が一匹増えるということは、
単に生き物が一つ増えるのではなく、**「物語が一つ加わる」**ということ。
天がこれからどんな風に育っていくのか──
それを見守るのもまた、飼い主の楽しみのひとつです。
願わくば、天よ。
この家で、元気に、そしてべらぼうに育ってくれ。
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