火曜日のJ太郎と、我が家のコーヒー牛乳

味覚とエッセイ

私はよく珈琲を飲みます。といっても洒落た豆の香りを愉しむような珈琲好きとはいささか違います。どちらかと言えば、カフェイン依存に近い部類だと自覚しています。
とにかくイライラ感がひどいとき、カフェインは欠かせません。もちろん気休め程度には過ぎませんが、それでも多少は気持ちが落ち着くのです。

私は安物好きなので、銘柄にはあまりこだわりません。缶コーヒーも飲みますし、コーヒー牛乳だって立派な“珈琲”の仲間だと思っています。
ただ甘いだけのパック詰め飲料ですが、私にとってはヘミングウェイにとっての酒——命の酒のような存在です。

そんな私が愛してやまないのが、スーパーフジのオリジナルのコーヒー牛乳です。火曜日には100円台で買えるので、我が家ではこの飲み物を「火曜日のJ太郎」と呼んでいます。

夜更けのラジオで、杉作J太郎さんがこのフジのコーヒー牛乳を愛飲していると話していたのを聞いてから、勝手に親しみを感じてしまいました。
自販機の缶コーヒーよりも断然お得感があるし、庶民的で、どこか沁みる味がします。

それ以来、我が家では「J太郎も…」というだけで、このパック飲料を指すようになりました。買い物リストにその一言を添えるだけで、全員に意味が伝わるのです。

最近では、頑なに缶コーヒー派だった父にも変化が訪れました。物価高の影響もあるのか、いつの間にか私のストックに手を伸ばすようになったのです。
しかも、ちゃっかり「天使の分け前」のように、少しずつ減らしているのが分かるようになりました。

ある日のこと。私は無意識にパックのコーヒー牛乳を軽く振る癖があり、それをいつものように振ってしまったのですが——
「天使の分け前」がすでにあったことを知らずに振った結果、当然ながら、軽い惨事となりました。中身は飛び出し、床に甘い香りを残しました。

それでも、我が家ではこのJ太郎牛乳を巡って、ちょっとしたドラマが日々生まれています。
火曜日になると、自然と家族の誰かが「あれ、J太郎いる?」なんて言い出す。そんなささやかな風景のなかに、妙な平和が流れているのです。


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