愛媛には狐がいない?お稲荷さんと「松山あげ寿司」の意外な関係

郷土の味と記憶

愛媛県の郷土料理「松山あげ寿司」をご存じでしょうか? 巻き寿司の海苔の代わりに「松山あげ」を使った、風味豊かで軽やかな一品です。実はこの「松山あげ寿司」と、お稲荷さんにまつわる興味深い話があるのをご存じでしょうか?

愛媛県に狐が住まない理由

愛媛県には「狐がいない」と言われるのをご存じですか?実際、愛媛では狐の目撃情報はほとんどなく、昔から「愛媛に狐は住まぬ」と語り継がれています。その理由について、こんな昔話が残っています。

昔、松山藩のお殿様の奥方がある日突然、二人になってしまいました。どちらが本物か分からず、名医を呼んで診てもらうものの判別がつきません。そこで二人を牢に入れて様子を見ることにしました。すると、片方の奥方の食事の仕方ががさつになり、ついに尻尾を出してしまいました。なんと、狐が奥方に化けていたのです。

怒ったお殿様は、その狐を木に吊るし、火あぶりの刑にしようとしました。すると、愛媛中の狐が集まり、「どうか大将を助けてください」と嘆願しました。そこでお殿様は、「愛媛から出ていくなら助けてやる」と条件を出しました。狐たちはその約束を守り、それ以降、愛媛には狐が住まなくなったと言われています。

ところが、狐がいなくなった後、今度は狸が多く住み着くようになったとか…。

狐がいないのに、お稲荷さんを祀る愛媛

狐がいないのに、愛媛には多くのお稲荷さんが祀られています。お稲荷さんはもともと農業の神様であり、五穀豊穣の守り神として日本全国で信仰されてきました。また、商売繁盛の神様としての側面も持ち、地元企業や商店でも祀られています。狐はお稲荷さんの使いとして知られていますが、愛媛では狐がいなくても、お稲荷さんの信仰は今も深く根付いているのです。

「松山あげ寿司」とお稲荷さんの意外なつながり

お稲荷さんの供物として知られる「いなり寿司」は、油揚げに酢飯を詰めた料理です。愛媛の「松山あげ寿司」もまた、油揚げを活用した郷土料理。狐の好物とされる油揚げを使った料理が、愛媛で今も大切にされているのは、偶然ではないのかもしれません。

また、「松山あげ寿司」は別名「瀬戸すし」とも呼ばれ、旬の魚や海産物を乗せて食べることもあります。これは、海に面した愛媛の風土と密接に関わる食文化のひとつです。

まとめ

愛媛には狐が住まないと言われる不思議な昔話がありながら、お稲荷さんはしっかりと根付いています。そして、油揚げを使った郷土料理「松山あげ寿司」も、そんな文化の中で愛されてきた料理のひとつです。

松山あげの軽やかな食感と、お寿司の相性は抜群。昔話に思いを馳せながら、「松山あげ寿司」を味わってみるのも、愛媛ならではの楽しみ方かもしれませんね。


余談ですが…

これは私自身の勝手な思いかもしれませんが、どうしても私は「狐」に肩入れしてしまいます。

まるで、ふんわりまろやかなシュークリームよりも、スマートでお洒落なエクレアを選びたくなるような感覚。
同じ“妖怪変化”で例えられるならば、やっぱり私は九尾狐のビジュアルには勝てないなぁ……と思ってしまうのです。

そんな私が書く、狐のいない郷土の話――。
皮肉にも見えますが、もしかすると“いないからこそ、想像が広がる”のかもしれませんね。


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