
私がこの駄菓子「ねるねるねるね」と再会したのは、確か姪がまだ幼かった頃のことでした。
久しぶりに口にしたその味は、なんとも不思議。酸味の強いラムネの風味が、どこか“飲みすぎた午後の胃酸”のように感じられ、正直なところ、最初は魅力を見出せずにいました。

しかしこの菓子、ただのラムネではありません。
粉状のラムネに少量の水を加え、スプーンで丹念に練り上げていくうちに、粘り気を帯びた独特のテクスチャが生まれます。付属のトッピングをパラパラと振りかければ、たちまちカラフルな見た目に変身。完成した様子は、まるで子どもの実験室。見栄えこそ可愛らしいものの、どこか味よりも「作ること」自体に意味があるように思えてなりません。
駄菓子の醍醐味とは、きっと“自分で作る楽しさ”にあるのでしょう。
既定のレシピ通りに作るのも一興ですが、そこに少しだけ工夫を加えることで、このお菓子は一段と輝きを増します。
例えば、私なら――
練り上げた「ねるねるねるね」を甘い麩菓子に塗ってみるとか、あるいはマシュマロの表面に包み込んで食べてみるとか……。そんなアレンジを想像するのもまた、楽しみのひとつなのです。

思えば「練る」という作業は、実に奥深い。
ちくわや蒲鉾などの“練り物”もまた、ひたすらに練り上げることで味や食感が決まる、まさに職人の世界。この「ねるねるねるね」は、そんな“練りの道”への最初の一歩として、子どもたちに密かにその技を伝えているのかもしれません。
もしも未来に、「ねるねる職人」を名乗る小さな名人が現れたとしたら——
「やっぱり〇〇ちゃんの練り仕事は一味違うねえ……」
そんな言葉が飛び交う「ねるねる友の会」なる催しが、どこかで開かれているかもしれません。
この不思議なお菓子は、味覚を超えて創造力を育む教材のような存在でもあります。
ただの駄菓子と思うなかれ、そこには未来の職人魂が宿っているのです。
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