クーラーをつけてもいいのは、7月から。
それが、私の家の“夏のルール”です。
扇風機でしのぐ6月の終わり、じっとりと肌にまとわりつく空気にため息をつきながら、
カレンダーの1日を指でなぞる日々。そして、7月。
リモコンの「冷房」ボタンを押すとき、ふと思い出すメニューがあります。——**やよい軒の「冷汁定食」**です。
■ 味噌と氷と、冷やごはんの記憶
冷汁(ひやじる)は、冷やした味噌汁に氷を浮かべ、
キュウリの輪切りや豆腐、薬味を加え、冷たいご飯にかけて食べる“涼やかなお茶漬け”のような一皿。
「食べて涼しくなる」なんて、大げさだと思っていたけれど、
この冷汁だけは、体だけじゃなく心までも静かに冷ましてくれる気がするのです。

■ 冷や汁(ひやじる)とは何か?
暑い日。
食欲が落ちる日。
そんなときに、スッと喉を通るのがこの冷や汁(ひやじる)。
冷たく冷やした味噌ベースの汁に、氷を浮かべ、キュウリの輪切りや豆腐などの具材を入れ、
熱々ではなく、冷やご飯にかけて食べるお茶漬け風の一皿です。
この時点で「それ、愛媛の“さつま汁”と似てるかも?」と思った方もいるかもしれません。
確かに似ています。けれど、やよい軒の冷汁は“宮崎スタイル”。
これがまた、**地元料理とは少し違った“後味”**を残してくれるのです。
■ やよい軒の「冷汁定食」は宮崎式
やよい軒で夏季限定メニューとして登場する「冷汁定食」は、宮崎県の郷土料理をベースにしています。
特徴はというと――
- ベースの冷味噌汁はさらりとした口当たり
- 焼いたサバの身を後のせして、ほぐしながら食べるスタイル
- 氷が浮いた状態で提供されるので、本当に冷たい!
- ごはんとの組み合わせが軽やかで、後味にしつこさがない
冷たくて、さっぱりしていて、それでいてしっかり旨味がある。
“重くない”のに“満足感”がある――これが、やよい軒の冷汁最大の魅力かもしれません。
■ 愛媛の「さつま汁」との違い
ここで、ちょっと郷土料理目線で比較してみましょう。
【愛媛のさつま汁】
- タイなどの白身魚をすり身にして汁と混ぜる
- 味噌ベースで粘り気があり、とろみのある濃厚スタイル
- ご飯にしっかり絡みつく重厚感
- 「漁師料理」らしく、パワー系の一杯
【宮崎の冷汁(やよい軒)】
- サバの焼き身はあとから入れる
- 魚の身が汁に溶け込まず、スープはさらさら
- 具材とご飯が独立しているので、軽やかな後味
- 「農家の夏飯」的な涼やかさと、手軽さがある
どちらも魅力的ですが、真夏の昼下がりに、胃に優しくスッと入ってくるのはやよい軒の冷汁かもしれません。
■ 後味が“軽い”というごちそう
夏の食べ物は、味そのものよりも**「食後の余韻」**が大切だと感じます。
やよい軒の冷汁は、その点で非常に完成度が高い一品。
サバの焼き身の香ばしさが、ご飯の甘みを引き出しつつも、舌に残らない潔さ。
どこか、音も立てずにすっと姿を消していく“夏の記憶”のような…
そんな食後の“引きの美学”が感じられる料理です。
■ まとめ|冷汁は、記憶を冷やしてくれる料理
冷汁は、食欲を取り戻す料理ではなく、
“気だるい夏を抱きしめる”料理なのかもしれません。
愛媛のさつま汁と、やよい軒の冷汁。
同じように見えて、性格は真逆。
でも、どちらも私たちの郷愁の引き出しにそっとしまっておきたい味です。
この夏もまた、あの一杯を食べて、氷の音と一緒に静かな時間を過ごしたい。
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季節の味 / 魅+夜話 / 郷土料理比べ
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