🐡毒をもって身を整える

味覚とエッセイ

― フグと郷土料理に見る“パール・ジャム理論” ―


🍽️はじめに

毒という言葉に、あなたはどんな印象を持っているでしょうか?
危険、排除、あるいは死。
けれども、料理の世界では毒とは時に“旨味”と紙一重の存在なのです。

杜王町の料理人トニオ・トラサルディーが使うスタンド「パール・ジャム」は、
その人間の不調に合わせ、料理を通して体を整える能力を持っていました。
しかし、その根底にあるのは“毒との共存”という恐ろしく繊細で深い哲学――

今日は、そんな視点からフグという食材と郷土料理、
そして私自身の“毒めいたブログ”のことを少し語ってみようと思います。


⚗️毒を制する者、料理を制す

フグは強い毒を持ちながらも、日本では冬の味覚の王様とされてきました。
その毒、テトロドトキシンは自然由来。フグ自身は毒を作っておらず、
毒性のあるエサ(海藻や貝類など)を摂取して、体内に蓄積することであの猛毒を得ています。

ところが近年、養殖技術の進化によって「毒を持たないフグ」の育成が進められています。
つまり、毒のない食材としてフグを“再構築”する時代が来たのです。

これはまさに、料理人による“毒との向き合い方”の進化系。
排除ではなく、制御と選択の力こそが、食文化を前進させるのです。


🥬郷土料理にも潜む“毒との共生”の知恵

実は私たちが慣れ親しんでいる郷土料理の中にも、かつて「毒」とされた食材が潜んでいます。

  • ふきのとう:強い苦味の中に含まれる微量の毒をアク抜きで無毒化
  • こんにゃく芋:本来は有毒植物。加工技術によってデトックス食材へ
  • なれずし・発酵漬物:菌と腐敗のギリギリを見極めた熟練の知恵
  • ドクダミ茶:名前に“毒”がついているが、抗菌・排毒作用が高く昔から重宝された薬草

これらは、自然の毒に敬意を払いながら、
「毒を抱えたまま美味しく仕上げる」という、
まさに料理人トニオ氏のスタンド“パール・ジャム”的アプローチそのものなのです。


🧪パール・ジャムとは何だったのか

トニオさんの料理は、ただ健康に良いだけではありません。
時に胃腸を強烈に刺激し、腹を下し、涙と鼻水を流しながら――
“毒抜き”という名の癒しを実現する。

パール・ジャムの力とは、こうです。

「あなたの身体の中にある“毒”を見抜き、
料理というかたちで優しく暴き出す。
そして、あなたが“本来の自分”へ戻る手助けをする。」

癒しの正体は、実は毒との対話だったのかもしれません。


🐡あとがき ― 長浜町の毒と、私の毒と

ところで――この記事で語ってきたフグですが、
実は私の住む愛媛県の長浜町は、知る人ぞ知るフグの名産地でもあります。
県外からこの地を訪れ、フグを求めて舌鼓を打つ人も多いとか。

…とはいえ、正直に言いますと、私はまだフグを食べたことがありません。

けれども、自分のブログには“フグめいた毒”を仕込んでいます。
それは、ただの優しさや甘さでは届かない部分に触れるための言葉の毒。
少し痺れて、でも、最後に身体が軽くなるような。

そういう毒を、私は文章に忍ばせています。
“読者の体内にある何かを少しだけ整えるために”。


✨終わりに

毒はただの敵ではありません。
それを恐れ、拒絶するだけではなく、
抱え、見極め、時には美味しくいただいてしまう――
それこそが、私たちの祖先が作ってきた料理の本質であり、
今を生きる私たちが忘れてはならない“味の記憶”なのです。

あなたの食卓にも、ほんのひとさじの毒と、癒しがありますように。


🔖おまけキャッチ(プロフィールやSNS用にもどうぞ)

  • 書き味は無毒フグ、あと味はテトロドトキシン級
  • スタンド名《ワード・ジャム》:読む者の感情を“微毒”で整える
  • 毒と旨味のはざまを歩く、文章料理人

🌀次回予告?:「毒を愛する女たち ~山で摘み、町で売り、家族に黙って出す~」
…そんな逸話とともに、また別の“微毒”をご用意します。

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